島田所長補佐インターンシップ研修(2月26日~3月2日)

2月26日から3月2日にかけて島田所長補佐がWA州フリーマントル市においてインターンシップ研修を行いました。この研修は、西オーストラリア地方自治体協会(WALGA)のCEO Ricky Burges氏の協力により実現したものです。
2月25日には、まず、受入を承諾して下さったBrad Pettitt市長とCEOのPhilip St John氏への挨拶を行い、CEOから市の概要の説明を受け、当方からは神戸市の概要の説明を行いました。その後、市の都市計画について話を伺いました。フリーマントル市は2016年に旅行ガイドブックLonely PlanetのBest in Travel Top 10 に選ばれ、「住む、働く、訪れる」街として発展するために現在経済発展事業に力を入れているそうです。Kings Sqaureの再開発に2.7億豪ドルを投資して、2020年までに新市庁舎、州政府、新しい商業施設が建設され、約2,000人の新たな雇用を生み出す予定だそうです。Kings Square再開発事業以外にも、新たな居住施設やホテルの建設などを始め人口の拡大、経済の拡大を目指した開発事業を行っていますが、他の都市とは異なるユニークな街として昔からのアイデンティティを保つことに住民の意識が高いため、コミュニティや文化、ヘリテージを守りながら、開発を進めることを意識しているとのことでした。また、市は昔からアーティストの受入を行っていますが、都市開発に伴う住宅価格の上昇から彼らを守るため、アーティストレジデンスを公営住宅のような形で提供しているそうです。
午後からは、州で唯一世界遺産に登録されているフリーマントル刑務所の観光ツアーに参加し、当刑務所の歴史と囚人の暮らしの様子を学びました。1991年まで実際に使用されていた刑務所で、刑期の長い囚人が収監されていましたが、市の発展と拡大に伴い、住民の生活区域から隔離するために閉鎖、移転されたそうです。当刑務所は、現在、観光施設となるとともに、一部をスタートアップにオフィスとして貸出しているそうです。
その後、観光センターに伺い、市の観光政策について話を伺いました。当センターでは、無料観光案内やツアーやホテルの予約サービスを行うとともにクルーズ船の利用客、船員を対象にした無料シャトルバスを運行しています。シャトルバスは、客船ターミナルから観光センターまでを約7分置きに往復しており、毎回大体乗客の25%がこの無料シャトルバスを利用しているそうです。
2月27日の午前中は、州の公営企業で港の管理を行っているFremantle Portを訪問しました。港に関する概要を伺ったのち、実際に北埠頭を見学し、コンテナの管理を見学しました。自動ゲート化されており、コンテナの積み下ろしをあらかじめ予約し、時間までターミナルの中に入ることは出来ないそうです。また、積み下ろしにかけられる時間も定められており、その時間を超えるとペナルティを業者は支払わなければいけないなど、厳しい管理が行われていました。また、当港では、空きコンテナの洗浄を機械により自動で行っており、このような港は世界でも非常に珍しく検疫対策にとても強いとのことでした。
また、港の再開発事業についても話を伺いました。港内ビクトリア埠頭には客船ターミナルがあり、クルーズ船が就航するものの、周りには、特に商業施設や飲食店などはなく、CBDへのアクセスも悪いため、現在、Fremantle Portはビクトリア埠頭に公共スペースや多目的施設、ホテルやアートワークの設置などを計画しているそうです。
午後からは、市の中心部以外の住宅地を視察しました。古くからの住居が多く、その多くがヘリテージ登録されているためリノベーション等は許可が必要だそうです。古い住居が多いなかで、建築中の物件も多くあり、人口が拡大している様子が伺えました。フリーマントル市は住宅価格が上昇しているため、アーティストレジデンスの建築も行い、芸術家が他の市に移らないよう対策を取っているとのことでした。
2月28日の午前中は、フリーマントルのアボリジニ部族Walayalupのためのコミュニティセンターに訪問しました。当センターは、市により5年前に作られ、文化や伝統を紹介するためのワークショップの開催やアボリジニアート作品の販売を行っています。フリーマントル市のアボリジニは人口のわずか4%ですが、アボリジニの人々に敬意を払うため、オーストラリアデーにセレモニーは行っていないそうです。
午後は、フリーマントルアートセンターを訪問しました。当センターの予算は250万ドルで、市、州政府からの助成金と商業収入によって運営されています。展示はすべて無料で、カフェを隣接するとともにオープンスペースでは音楽コンサートやコミュニティイベントなどを開催しています。野外イベントは年間100回程度開かれており、館内では絵画、版画、ジュエリー制作などのワークショップが開催され、年間5千人以上の学生が参加をしているそうです。また、アーティストレジデンスの一部も館内に設置されていました。3月のイースターには毎年International Street Art Festivalを開催しており、昨年は15万人の人々が市を訪れたそうです。この祭典の予算は25万ドル程で15%が地元企業のスポンサー料、残りの85%が市と州からまかなわれています。
また、市立図書館を訪問し、取組について説明を受けたのち、子供向けワークショップに参加しました。現在は、市庁舎と共に仮の施設で運営を行っているため、スペースや蔵書数はかつての半分になっている事情に反比例し、利用者は増加しており毎日4,500名程度が利用しているそうです。蔵書のうち90%が州立図書館から借りている本で、一定期間が過ぎれば、また州に返す仕組みとなっているそうです。州と市が蔵書を共有しているのは、オーストラリアではWAだけとのことでした。電子書籍としても4000冊以上の本を取り揃えており、図書館に来ることが出来ない人たちに重宝されているそうです。
図書館は現在受付カウンターの縮小を目指しており、2年後に完成する新たな図書館ではカウンターを廃止し、タブレットで利用者が全てのサービスを受けられるようにする予定だそうです。
ワークショップも数多く開催されており、当日は子供向けのプログラミング講座に参加しました。講師は、ゲーム会社に勤めている男性で、ボランティアとして講座を開催しており、子供たちは各々自分で考えたゲームを作成していました。夜は、市議会を見学させて頂きました。議場も再建築中のため、コミュニティセンターを仮の議場として使用しており、Kings Squareの再開発や公共エリアでの飼い犬の管理などが議題となっていました。他にも5名程度の市民が議会を傍聴していました。
3月1日は、フリーマントル市、フリーマントル警察署、NPOによるチャリティーイベントARTreachに参加しました。このイベントは、アボリジニの人々やホームレス、精神疾患、薬物・アルコール依存などの抱える人々が描いた絵画をオークションにて販売し、サポートに当てるイベントで、昨年の4月に始まり、100点以上の作品が作成されています。当日は、市長や議員を含み、多くの人が来場していました。作品はネット上でも落札できる仕組みとなっているそうです。
3月2日の午前中は、2009年から2016年までフリーマントル市の副市長をしており、2016年より国会議員となったJosh Wilson氏(労働党)の事務所を訪問し話を伺いました。Josh氏は、キャンベラでの国会出席、委員会への出席(NBN(National Broadbank Network)委員会、国際条約委員会、National Bank委員会)に加え、事務所での住民の苦情や相談の窓口、メディアでの広報、各種イベントへの参加、Open Air Officeの開催(公園などで市民との対話をすること)などを行っているそうです。
午後は、フリーマントル市が役員都市となっている平和首長会議(Mayors of Peace)での活動について話を伺いました。長崎平和公園にはフリーマントル市から送られた彫刻(Tree of Life)が設置されており、この像は、核実験により被爆したアボリジニによって作成されたもので、Josh Wilson氏が副市長として除幕式に参加したそうです。フリーマントル市では、啓蒙イベント(核兵器に関する作品を集めたFilm Festivalなど)や会議の開催や、核兵器廃絶宣言書の作成を行うなど積極的に活動を行っているそうです。今後、この活動をオーストラリアのほかの地方自治体にも積極的に参加してもらえるよう取組を行っていきたいとのことでした。
今回のインターン研修では、市の政策のみでなく、州政府の政策や連邦議会についても幅広く学ぶことができました。フリーマントル市は、再開発計画により、新たな住民やビジネス労働者を迎え入れ、経済的に発展することを目指している一方で、古くからの住民やフリーマントルを拠点とするアーティストの住環境を守るため、どの部署、どの施策においても住民の声をとても大切にしている様子が伺えました。今回学んだことを、行政に携わるなかで活用するとともに、再開発計画によるフリーマントル市の変容に、帰任後も引き続き注目していきます。

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  • 2023/2024 CLAIR Forum 

    開催日 2024年3月11日(月)

    テーマ Disaster Management and Resilience

    会場 The Japan Foundation, Sydney – Seminar Room(オンライン同時配信)

    主催 クレアシドニー事務所

    共催 シドニー工科大学公共政策研究所 (UTS:IPPG)

     

    【発表者・内容】

    ① 竹村所長補佐(総務省)

    日本における近年の災害発生状況や、災害に係る日本の行政組織(国・都道府県・市町村)の役割のほか、総務省が制度化した対口支援方式の能登半島地震における稼働状況を説明しました。

    ② 國﨑所長補佐(福岡県庁)

    福岡県における近年の大雨災害の様子、避難行動要支援者の支援の取り組み(市町村指導、避難所運営及び個別避難計画作成に関する研修・訓練等)について、説明しました。

    ③辻脇所長補佐(和歌山県庁)

    「世界津波の日」制定の由来となった和歌山県出身 浜口梧陵の逸話に触れるとともに、和歌山県の特徴的な災害対策として、避難先の安全レベルの設定や、移動式給油機「どこでもスタンド」、出張防災教育について説明しました。

    ④Nicole Parsons 氏( Illawarra Shoalhaven Joint Organisation )
    ※当日欠席のため、Vanessa Chan氏が代読

    Illawarra Shoalhaven地域の災害リスク低減のため、地方自治体やパートナーと連携したインフラの耐久性向上や地理的データのアクセス向上、また、環境モニタリングや早期警告システムの開発などの取り組みについて説明がありました。

    ⑤松本所長補佐(千葉県市原市役所)

    千葉県市原市における災害対応について、説明しました。発災時の体制、避難所の種類・開設条件、備蓄品といった基本事項を扱うとともに、コロナ禍における避難所運営の変化に関して、取り組んできた事例を紹介しました。

    ⑥太田所長補佐(神奈川県小田原市役所)

    日本の災害時における医療について、特に被災時におけるDMATの概要、プロセス、厚生労働省と県、災害拠点病院の役割について、小田原市立病院によるDMATの能登半島地震への派遣などの実例を交え説明しました。

    ⑦Tommaso Briscese氏、Miriam Wassef 氏(Burwood Council)

    Burwood Councilにおける、 COVID-19の対応や復興の取り組みとして、コミュニティへのケアや、地域経済復興のための中小企業への財政支援、人的交流を促進させるイベントや空間づくりについて説明がありました。

    ⑧Q&A、Summary

    Q&Aセッションでは、参加者から多くの質問をいただき意見交換ができました。最後にCarol Mills氏が、フォーラム全体を振り返りつつ、締めくくりを行いました。

     

     

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  •  12月3~13日、福岡県水泳連盟の選抜選手8名がNSW州を訪問し、現地の学校との合同練習とNSW州の大会に参加しました。
     
     合同練習では現地の選手との交流を深め、大会では福岡県の選手たちが数々のメダルを獲得する素晴らしい成果を収めました。
     
     本訪問は、2023年12月に福岡県・福岡県水泳連盟・NSW州水泳連盟の3者で締結されたMOUに基づく取り組みです。
     
     クレアシドニー事務所は、福岡県からの依頼を受け、一部行程の同行などのサポートを行いました。今後も、福岡県とNSW州のスポーツ交流がさらに進展するよう、引き続き、支援してまいります。
     
     選手の皆さん、監督、コーチ、同行された職員の皆さん、本当にお疲れさまでした!
     
     
     
     
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